utmはこれまでファイアウォールでは対応できなかった様々な能動的な攻撃に対応できるものと注目され、登場したときには多くの企業がこぞって導入しました。しかし現在ではこれを使い続けている企業は非常に少なく、そのほとんどがファイアウォールに戻ったり、もしくはその他の複雑なセキュリティ対策システムに移行しています。utmは1台で様々な処理を行うことができるため、経済的にも非常に優れたものと注目されてきましたが、実際には大きな問題点がありました。utmの構造は様々な機能の実現をソフトウェアで行い、実際にはCPUにプログラミングされた内容に従って動作すると言うものです。

そのため複雑な処理が同時に行われるとCPU負荷が増大し、その対応速度が低下したり、最悪の場合にはシステム停止が発生することになります。システム停止が発生した場合には一切の通信が遮断され、外部とのやりとりができなくなることから企業の活動が停止する状況に至るため、これが大きな問題となりました。utmを利用する場合にはこのシステム停止を発生させないように常に状況を監視し、また必要に応じて負荷を軽減するためのセキュリティ対策機器を追加する必要が生じます。その運用管理は非常に煩雑なものとなるため、本来1台で行うことでその管理負荷を軽減することができると期待していた企業にとっては、思わぬリスクとなりました。

これにより、最大のメリットが損われることとなったため、多くの企業ではutmを使用しなくなったものとなっています。